後悔しないために

ランドセルといじめ|公的統計で確認する

不安を煽ることも、根拠なく否定することもせずに整理します。公的統計に何が載っていて、ネット上の事例に何が欠けているのかを見ていきます。

「ランドセル いじめ」という検索は、月に数千回あります。特定のメーカー名と組み合わせた検索も少なくありません。

この記事では、不安を煽ることも、根拠なく安心させることもしません。分かっていることと、分かっていないことを分けて書きます。

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先に結論

文部科学省のいじめ調査には、持ち物や服装を原因とする分類は存在しません。ネット上の「ランドセルでいじめられた」という話は、個人の投稿が中心で、統計的な裏付けは確認できませんでした。

公的統計に何が載っているか

文部科学省は「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」を毎年実施しています。令和6年度の小学校におけるいじめの認知件数は610,612件でした。

この調査では、いじめの「態様」が次のように分類されています(複数回答のため合計は100%を超えます)。

態様 件数 構成比
冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる 351,645 57.5%
軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする 149,490 24.5%
仲間はずれ、集団による無視をされる 74,588 12.2%
金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする 71,428 11.7%
ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする 42,700 7.0%
嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする 34,284 5.6%
パソコンや携帯電話等でひぼう・中傷や嫌なことをされる 11,586 1.9%
その他 23,798 3.9%

この分類に「持ち物」や「服装」という項目はありません。

これは「持ち物が原因のいじめは存在しない」という意味ではありません。調査が"何をされたか"を分類しているのであって、"何がきっかけか"を集計していないということです。ここは正確に読む必要があります。

ネット上の情報に何が欠けているか

「ランドセルでいじめられる」というテーマの記事を確認したところ、根拠として挙げられていたのはQ&Aサイトへの投稿2件でした。

  • キャメル色のランドセルを持つ子が、色をからかわれた
  • 2万円のランドセルを買った親が、百貨店で高額なものを買った親族から見下すような目で見られた

そして記事自体の結論も、「色やデザインで大きないじめに発展したという事例はあまり聞きません」というものでした。ただし「少しからかわれてしまった」事例はあるようだ、とも書かれています。

つまり、広く共有されている「ランドセルでいじめ」という不安に対して、その根拠となる統計は見当たらないのが現状です。

一方で、いじめの態様として最も多いのが「冷やかしやからかい」(57.5%)であることも事実です。からかいの対象は、持ち物を含めて何にでもなりうるとは言えます。

「高いと妬まれる」「安いとバカにされる」

どちらの方向の不安も存在します。数字で見てみます。

ランドセル工業会の2026年調査(n=1,500)による価格帯の分布です。

価格帯 割合
65,000円以上 46.0%
55,000〜64,999円 18.1%
40,000〜54,999円 14.2%
25,000〜39,999円 8.6%
24,999円以下 6.3%

上にも下にも幅があります。6万5千円以上が半数近くを占める一方、4万円未満も約15%。どちらも例外ではありません。

そして購入の決め手として「有名ブランド」を挙げた人は14.7%。上位は子どもの好きな色52.5%、デザイン35.1%、フィット感21.6%です。

多くの家庭は、ブランドや価格で序列を作っていません。

あわせて読みたい ランドセルの値段相場と予算の決め方 平均は62,034円。ただし「相場に合わせる」必要はありません。価格差が何についているのかが分かれば、自分の家庭の適正額は決められます。 価格とお得に買う ・ 読了目安 8分

それでも、この不安には意味がある

ここまで読んで「心配しなくていい」と思われたかもしれません。ただ、この不安を持つこと自体は、間違っていません。

理由は2つあります。

1つ目。ランドセルは6年間、毎日、人目に触れる場所で使うものです。他の持ち物と違い、隠せません。子どもが気にする可能性を考えるのは、親として自然なことです。

2つ目。そして、この不安が実際に向かうべき先があります。「他人にどう見られるか」ではなく、「本人が6年後も嫌にならないか」です。

メーカーの解説記事では、装飾の強いデザインや鮮やかすぎる色が、高学年で恥ずかしく感じられるケースが後悔の例として挙げられています。問題になるのは他人の目より、本人の変化のほうです。

対処法は用意されている

そして、この後悔には対処法があります。

ランドセルカバーを付ければ、外から見える面の印象は大きく変わります。買い替えなしで直せます。

実際、後悔ポイントの順位を調べた調査でも、色・デザインは重さ・価格・サイズより下位でした。重さやサイズの後悔は買い替えでしか直せませんが、見た目は後から変えられるからです。

購入時に子どもに伝えておくべきことは、ひとつだけです。

「大きくなって気が変わったら、カバーで変えられるよ」

あわせて読みたい ランドセルカバーの選び方と種類 カバーの本当の価値は、傷を防ぐことだけではありません。高学年で色の好みが変わったとき、買い替えずに対処できる唯一の手段です。 買ったあとの6年間 ・ 読了目安 7分

ラン活で本当に時間を使うべきところ

不安を整理すると、優先順位が見えてきます。

時間を使う価値があるもの

  • 重さと背負い心地(後悔の第1位。買い替えでしか直せない)
  • サイズとA4フラットファイル対応(同上)
  • 6年間保証の中身(6年間の維持費に直結する)

時間を使わなくていいもの

  • 他人からどう見られるか
  • ブランドの序列

ラン活が大事なのは、勝ち負けがあるからではありません。6年間毎日使うものを、やり直しのきかない条件で選ぶからです。事前に調べて納得して決めるという行動そのものは、正しいことです。

あわせて読みたい ランドセル選びの後悔と、その避け方 後悔は色やデザインより、重さ・価格・サイズに集中しています。何がどう後悔につながるのかを分解して、購入前に確認できる形にしました。 後悔しないために ・ 読了目安 9分

いじめの認知件数および態様の分類・構成比は、文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によります(複数回答のため合計は100%を超えます)。ネット上の事例に関する記述は、ランドセル情報サイトが公開している記事の内容を確認したものです。価格帯分布・購入決定理由は、ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2026年」(n=1,500 / 株式会社クロス・マーケティング実施)によります。高学年での好みの変化に関する記述はランドセルメーカーの解説記事、後悔ポイントの順位はランドセル情報サイト「いいものラボ」が2020年入学モデル購入者を対象に実施した調査によるもので、いずれも公的な統計ではありません。本記事は特定のメーカーや価格帯を推奨・批判するものではありません。

よくある質問

ランドセルが原因でいじめられることはありますか?
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」には、いじめの態様として持ち物や服装を原因とする分類は存在しません。ネット上には「からかわれた」という個人の投稿はありますが、統計的な裏付けのあるデータは確認できませんでした。
高いランドセルだと妬まれますか?
そうした事例を統計的に示すデータは確認できませんでした。ランドセル工業会の2026年調査では、購入の決め手として「有名ブランド」を挙げた人は14.7%にとどまり、多くの家庭はブランドで選んでいません。
安いランドセルだとバカにされますか?
同じ調査では、4万円未満で購入した家庭が約15%あります。価格帯には実際に幅があり、特定の価格帯が例外というわけではありません。
いじめの態様で最も多いのは何ですか?
文部科学省の令和6年度調査によると、小学校では「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が351,645件で57.5%と最多です(複数回答)。

同じ失敗を避けるために

気になった点を、メーカーごとの仕様で確認しておきましょう。

人気メーカーを比較する選び方の基準を知る

本記事はランドセルメーカーの公式発表資料や公的機関の公開情報をもとに編集部が作成しました。価格・仕様・日程は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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